あんちぇいん

気弱なおっさんがネットの匿名性を良いことに、言いたいことを言い書きたいことを書く そんなブログだったよね

iPhoneがスマートフォンを殺す

と言われるかもしれない。と危惧していますというお話。
1980年代後半から1990年前半にかけて、ロックシーンにグランジというムーブメントが起こり、ニルヴァーナサウンドガーデンパールジャムといったバンドが大ヒットしました。。
それを受けて、ハードロックシーンに何が起こったかというと、グランジバンドの青田買いと、既存バンドによるスタイルの模倣でした。
新人バンドはさておき、シーンの中堅、大御所のグループまで重く引きずるような音作りを真似しだし、一時期ハードロックシーンにはグランジのバンドとグランジの模倣をするバンドしかいないんじゃないかという状態に陥りました。
で、模倣をしたバンドがセールスを伸ばしたのかというとそうではなく。
結局買い手はシーンの大御所にクオリティの低い模倣の音は求めていなくて、それどころかグランジが蔓延し暗い音造りが主流となった市場に辟易気味だったため、期待していたのは従来通りの路線の、それもクオリティの高い音だったという事で。
模倣した音は新しい買い手もつかず、既存のファンも離れ、最悪の場合バンドは解散の危機を迎えたり、というオチがついたり。
 
で、結局何が言いたいかというと、ユーザーは別にスマートフォンiPhoneモドキを求めているわけではないんじゃないかという事です。
スマートフォンのひとつの形態として、ぬるぬるUI+日本のガラケーに似た囲い込みの箱庭形式でサービスを提供するiPhoneの手法は確かにヒットしたわけですが、じゃあスマートフォンに対する回答がiPhoneしかないのかというと決してそういうわけではないと思うんですよね。
別に皆指で画面をなぞりたくてiPhone買っているわけでもないでしょうし。
 
直感的で分かりやすいUI、何でもできますというアピールに対する具体的なアプローチ方法の提供、それなりの再現力を持ったビューワーとしての機能。裸で使ってもそれなりに安心そうな強度を持った、汚れても拭き取りやすそうなフラットな液晶。
iPhoneを良いというユーザーの声をよく聞いてみると、結局は既存のスマートフォンのOSメーカーやハードウェアメーカーがなにかと理由をつけて散々スルーしてきたユーザーの声を丁寧に拾って実現させているものだってわかるはずです。

模倣するべきところは、その姿勢であってUIとかそういう表面的な部分ではないはずです。
素のWMを使っていると、「標準機能(つまり無料)なんだからこの程度で良いでしょ」という開発者の思い(怠け)を随所に感じることがあります。
例えばいつまで経っても低機能なfile exploler、再現力が低くタブもなく、画像非表示にすると画面が著しく乱れるInternetExploler、動画再生力が低すぎるWMP、いまだにサムネイル展開が遅すぎてデジカメ画像を満足に確認できず、画像の編集もまともにできない画像とビデオ、ろくすっぽ働かないタスク管理、取ったメールを整理できない上検索機能も今一つな受信トレイなどなど。
どれもユーザーがずーーーーーーっと不満に思い、散々改善を望み、果たされないため代替えアプリが当たり前になっている機能です。
OSの基本機能をサードパーティー製品で置き換えるなんていう情けない事をいつまで続けるつもりなんですか?と聞きたいです。
もしそれを続けるのだとしたらその作業、いつまで物を探してくるところからユーザーにやらせるの?と。マーケットプレースで簡単に探すことができるのは良いことですが、せめてその前に使い物になる基本機能を入れて出してくれよと。
  
マーケットプレースでアプリを配るっていうのは大きな前進だとは思います(私がMVPになる前からずーーーーーっと主張し続けていたことなのでやっとか、という気持ちは確かにあります、別に私の意見が採用されたと言うわけではなく、私の声なんか届いてもいないというのは重々承知の上です)が、音楽や動画の提供も早くしてもらいたいです。
っていうか、WMPの機能をさっさと専用のプレーヤー並みに改善して、そっち優先でやってもらいたいぐらいです。
著作権がらみの機能とか色々持ってるはずなんだから、あとは再生能力だけじゃないの?と思うわけです。
 
とりあえず、MSがまずやるべきことは安易な模倣ではなく、WM開発者はまずiPhoneを半年ほど使ってみてその開発に対する姿勢を感じ取ってもらい、そこをきちんと消化吸収して徹底的に自分達の物作りに生かす。
ユーザーの声を聞き、WMに対する不満や批判をできる限り潰していく形でOSの基本機能を作成する。
そして最後にiPhoneを使ってみて感じた不満点を解決する方法を盛り込む。
これぐらいやらないと、WM7での巻き返しって難しいと思います。
 
ハードロックファンの間ではグランジがハードロックを殺した、と長らく言われ続けてきました。でもハードロックを殺したのは、実はグランジではなくそれに安易に迎合しようとしたハードロックの市場自身でした。
 
今回スマートフォンiPhoneに殺されたとか言われてしまわないことを、私は心から願っています。