あんちぇいん

気弱なおっさんがネットの匿名性を良いことに、言いたいことを言い書きたいことを書く そんなブログだったよね

スパイゾルゲ

結局スパイゾルゲに足りないものは、覚悟と葛藤、そして悲壮感ではないかと思ったり。この映画の登場人物にはそれらが全く感じられないというか、ゾルゲ一味は捕まった際の覚悟もスパイゆえの悲壮感も感じられずサラリーマン感覚の職業スパイっぽいし、尾崎も国家機密を漏洩していてばれたら死刑だという覚悟が感じられない。尾崎など家族も娘もいる身で、そういう葛藤は必ずあっただろうし、ゾルゲも自分の活動が無駄ではないのかとか、本国に残した妻のことだとかで心残りや苦悩もあっただろうし、しかし二人ともそのうえでスパイとして活動して行くという覚悟があったはずなのに、そういった部分が全く描かれていない。だからスパイ自身とそのまわりの人がどんなに悲惨な結末を迎えても見ている方は同情できない。
結局この監督が何を撮りたかったのかわからずじまいで、なんとも焦点のぼやけた映画になってしまっている。